腕まくりでハンドルを握るトラックドライバー

【第1話】トラックドライバーに向いている人

トラックを降りて、もう5年になる。

大学卒業直前、訳あってニューヨークへの留学を取り止め、父の経営する金型研磨工場で働き始めた。
ワンマンだった超零細企業。
目に付くものすべてが自分の仕事だった。

そのうちの1つが、トラックでの金型の引取り・納品だった。

大型自動車一種免許取得後、関東から遠いところで関西・上信越を1日で往復。
断続的に10年続けたが、いろんなものに守っていただいた結果、無事故・無違反でやってこられた。

現在はフリーライターとして、多分野を執筆しているが、ハーバービジネスオンラインでは、トラックにまつわる実体験や、現役トラックドライバーらの声をもとに、長らく連載させてもらっている。

今回、寄稿をさせていただくことになった、このドライバージャパンの閲覧者各位は、トラックドライバーになりたい・転職したいと思っていらっしゃる方が大多数だろう。

今回は第1話として、ご挨拶がてら、私が今まで見てきたなかで感じるドライバーに向いている人をご紹介してみたい。

ドライバーに向いている人とは

社会人として、自らハンドルを握る職業に就きたいと思う以上、責任感がある運転が好きというのは、ドライバーに向いている人以前の要素であるゆえ割愛する。
その他にどんな性格・能力のある人がトラックドライバーに向いているかを挙げてみよう。

1. ひとりでの仕事が好きな人

想像に難くないかとは思うが、トラックドライバーは終日、多くの時間をひとりで過ごす。
運転中はもちろん、食事を摂る時や荷待ちの時間も、基本的にひとりだ。
それゆえ、ひとりで作業することで、寂しくなったり、すぐに眠たくなったり、怠けたりしてしまいがちな人は、トラックドライバーに全くもって向いていないと言える。

2. 人が好きな人

上記の1と若干矛盾したように感じるかもしれないが、トラックドライバーは1人で仕事をしているわけではない。
ひとり(単独)だからこそ、多くの助けが必要になるし、助けを必要とされる。
眠くなった時、渋滞にはまった時、助けてくれたり励ましてくれたりするのは、同じくひとりで頑張る仲間であることが多い。
同じ道を走る名も知らぬトラッカーとも仲間意識を持てる人ではないと、困った時に苦労する。

3. 几帳面な人

時間厳守然り、トラックドライバーには何にでも丁寧に対応することが求められる。
駐車時、ラインと平行に駐車できなかったことが許せなかったり、ホロを綺麗に畳んだり、積んだ荷物のズレが大いに気になったりする人は、トラックドライバーとして「欲しい」と思われる人材だ。

ちなみに、現役トラックドライバーが几帳面か否かは、車内を見れば1発で分かる。
自分の「」が散らかっていても平気でいられるドライバーは、1度自分を見つめ直してみた方がいい。

4. プライドを持っている人

トラックドライバーには、職人気質な人が多い。
実際、交通状況や荷物の状態に応じて運転スタイルを的確に判断・選択できるドライバーを見ると、鳥肌が立つほど感動する。
世間がイメージするトラックドライバーの仕事は、文字通りトラックを運転することだが、ご存知の通り、実際は荷物を安全・確実に送り届けること。
この違いこそ、ドライバーが職人か否かだといえる。
国の血液と称されるトラックドライバー。
その1滴として、自分の仕事に誇りを持てる人にハンドルを握ってもらいたい。

5. 我慢強い人

我慢といっても、

  • トイレを我慢する
  • 眠気に耐える
  • 辛抱強く荷降ろしまで待つ

など色々あるが、ここで言いたいのはそういうものではない。
打たれ強いかどうかだ。

4で挙げたプライドが高い人の中には、実は打たれ弱い人がかなりの割合で存在し、荷主や上司に理不尽なこと、厳しい言葉を浴びせられた時に、必要以上にヘコんだり、時には反論してしまったりすることがある。
が、プロのトラックドライバーは、こうした理不尽な言葉をかわせる打たれ強さが必要なのだ。

トラックドライバーとしてのプライドを持つことは必要不可欠なのだが、それを誇示するしたり見せつけたりすることはあってはならない。
そもそもプライドというのは、見せつけるものではなく、秘めるものなのだ。

著者紹介

橋本 愛喜 (はしもと あいき)

橋本 愛喜
 
 
 
 

フリーライター。
大学卒業間際に父親の経営する零細町工場へ入社。
大型自動車免許を取得し、トラックで200社以上のモノづくりの現場へ足を運ぶ。
その傍ら日本語教育や主催したセミナーを通じ60か国4,000人以上の外国人駐在員や留学生と交流。
滞在していたニューヨークや韓国との文化的差異を取り入れながら、多分野をハーバービジネスオンラインIT mediaビジネスオンラインなどで執筆中。

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