自動運転車が起こした事故!そしてその責任は?!
最近では自動運転システム搭載車も珍しくなくなり、完全な自動運転車が市販されるのも遠い日ではなさそうです。ただ自動運転車による事故も起こっており、自動運転車は完全に安全とは言えないようです。また自動運転車が事故を起こした場合、賠償責任は誰がとるのかも気になるところです。
目次
代表的な自動運転による事故
自動運転車による事故は2018年に入ってアメリカで相次いで起こっています。また日本でも過去に自動運転車による事故が発生しています。ここで改めて事故の状況を確認してみましょう。
●ウーバーのケース
ウーバーのケースは実証実験車による事故でした。2018年3月にアメリカ・アリゾナ州での完全自動運転による走行テスト中に歩行者をはねる死亡事故を起こしたのです。この事故は車載カメラにより事故の直前の映像も残っていました。人が運転する車でも事故を防げたかどうか、意見の分かれる事故でしたが、自動運転車の信頼性を大きく問われることにもなりました。
●テスラのケース
ウーバーのテスト走行車による死亡事故の数日後、こんどはアメリカ・カルフォルニア州でテスラの「モデルX」が運転支援レベル2「オートパイロットモード」で走行中に中央分離帯に衝突し、ドライバーが死亡する事故が起きました。テスラに関しては2016年にも「オートパイロットモード」で運転中に死亡事故が起きており、どちらもハンドルを握っていれば起こらなかった事故とされています。
●日本車のケース
日本でも自動運転システムで走行中の車が事故を起こしたケースがあります。事故は2016年に日産自動車の試乗車を走行中におきました。「プロパイロットモード」を使用中であったにも拘らず起きた追突事故でした。「プロパイロットモード」は前の車との車間距離を車速に伴い自動制御する自動運転システムですが、何らかの影響で自動ブレーキが作動せず、停車中の前方車に追突したといいます。試乗車に同乗していた販売店関係者の誤ったアドバイスもあったといいますから、真の事故原因は不明です。ただ「プロパイロットモード」などの自動運転システムは多くの車に搭載されていますから、決して他人事ではない事故といえるでしょう。
自動運転による事故の賠償責任は誰がとる?
自動運転車が事故を起こした場合に最も気になるのは誰が事故の責任を取るのかです。これは人が運転する車の場合は運転手の過失になりますが、人が運転しない自動運転車の場合は、運転席に座っている人が賠償責任を取るのか、それともメーカーが賠償責任を取るのかが大きな問題です。
2018年3月、こうした問題に一つの回答が日本政府から出されました。
●原則、車の所有者に賠償責任
自動運転車が事故を起こした場合、これまでと同じく民事では車の所有者に損害賠償の責任が問われます。同様に自動車賠償責任保険を利用することができます。
●ハッキングによる事故は政府が救済
自動運転システムはハッキングなど他者からの操作で誤作動を起こすことが考えられます。このためハッキングによる事故の場合は政府の救済制度を利用することができます。ただしシステム更新などセキュリティー対策を定期的に行っていることが条件になっています。
●システムの欠陥による事故はメーカーが賠償責任
事故の原因が車のシステムの欠陥によるものと明確になった場合はメーカー側が賠償責任を負います。
自動運転車の法整備はこれから
自動運転車で事故が起きた場合の刑事責任など、自動運転車の法整備はまだまだ未確定なものが多いのが実情です。これから徐々に制度が整備されてくると考えられるので、私たちもしっかりと見守る必要があります。